GREETINGS AND SALUTATIONS!

GREETING!

サリュテーション・コンソーシアム ニュースレター
1997年12月

目次

会長からのメッセージ
サリュテーション・ニュース
マネジング・ディレクターから皆様へ
サリュテーション・シナリオ
サリュテーションのメガトレンド
製品のフォーカス
テックトーク
展望
イベント情報


会長からのメッセージ

COMDEX'97 Fallにおけるサリュテーション・コンソーシアムの出展は盛況のうちに終えることができました。私たちのブースに足を止められた皆様全員にコンソーシアムからお礼を申し上げます。今回の出展ではIBMのNuOffice、XtraWorXのSalutation Port-of-Entryプロトタイプ、STS ConsultingのSalutation Visual APIドライバなどのデモを合計150回以上行い、650人を上回るビジターとお話しすることができました。

システム・インテグレーター、アプリケーション開発者、ハードウェア・メーカーなどから、サリュテーションのテクノロジーを利用してユーザーのニーズを満たすことはもちろん、サリュテーション・コンソーシアムのメンバーとなることについても強い関心が寄せられています。サリュテーションを使ってデスクトップ・モニターのグラフィックス特性を判別し、ネットワークから適切なソフトウェアをロードできるようにすること、ローカル・ワークステーションに接続されているプリンタにリモートから出力すること、(メーカーを問わず)ハンドヘルド・デバイスの特性を検出して、あるいは中央のコントローラから自由にデータを交換できるようにすることにはとりわけ強い関心が寄せられています。

COMDEX'97 Fallの会場では連日コンソーシアムからSharp SE500 Mobile Organizerの賞を授与しました。受賞に輝いたのは以下の皆様です。

ブースのスタッフとして活躍していただいたCisco SystemsのMary Hill、Sun MicrosystemsのPete St. Pierre、 Axis CommunicationsのBengt Christenssonの各氏に対しては特に深く感謝します。Axis、キヤノン、富士ゼロックス、日本IBM、Lotus、シャープ、STS Consulting、XtraWorXの各社からは、展示やデモのために製品やプロトタイプを提供していただきました。


サリュテーション・ニュース

Adobe Systems, Inc.、サリュテーション・コンソーシアムに加入

Adobe Systems Incorporatedがサリュテーション・コンソーシアムのメンバーになりました。コンソーシアムのマネジング・ディレクターであるボブ・ペコラ氏は次のように語っています。「Adobeはアプリケーションの面でコンソーシアムを強化してくれます。Adobeの専門技術と参加はデスクトップ環境のアーキテクチャを支え、開発のよき刺激となり、サリュテーション対応のアプリケーションの登場を加速するはずです。」

カリフォルニア州サンノゼを本拠地とするAdobe Systems Incorporatedは、紙や電子の媒体を通じて人々が情報をより豊かに表現し利用できるように、いろいろな製品を開発しサポートしています。Adobeは1982年に設立され、デスクトップ・パブリッシング革命の立ち上がりに大きな役割をはたしました。今日、同社は、ビジュアルなコミュニケーションの素材を作成し配布するたのアプリケーションやフォントで市場をリードし、大手のハードウェア・メーカー、ソフト会社、サービス・プロバイダーなどに業界標準のさまざまな技術をライセンス供与しています。また、いろいろな規模の企業に適した統合ソフトウェア・ソリューションを開発しています。詳しくはAdobeのホームページ(http://www.adobe.com)を参照してください。

HPとサリュテーションが協力関係に

Hewlett-Packardとサリュテーション・コンソーシアムは、この7月、HPの新しいJetSendテクノロジーをサリュテーション・アーキテクチャに対応させる作業を共同で進めるとの発表を行いました。発表の席上、HP Information Appliance Operationのアライアンス・マーケティング・マネージャー、Robert J. Horton氏は「2つのテクノロジーを統合することによってどのような分野でユーザーの利益を促進できるか探るつもりだ」と述べ、「これら2つの技術が相互に補完し合うことはユーザーにとって大きなプラスになる」と指摘しました。この発表を受けて、いくつかの技術的なディスカッションがもたれ、コンソーシアムの技術委員会による活動が始まりました。具体的には、コンソーシアムはFunctional Unitの定義にJetSendの属性を付加することに同意しました。コンソーシアムのマネジング・ディレクター、ロバート・ペコラ氏は「これにより、サリュテーションのユーザーはPostScriptやPCLの機能を認識できるのと同様に、JetSend対応の機器を認識できるようになる」と説明しています。JetSend Functional Unitの設計に向けて、HPの代表をリーダーとする技術委員会も開かれる予定です。

サリュテーション認定基準をコンソーシアムのWebページで発表

メーカーがそれぞれ異なるサリュテーション製品(サリュテーション対応の機器、アプリケーション、サービス)間のインターオペラビリティ(相互運用性)を高めるために、「サリュテーション製品」を名乗るうえで満たすべきサリュテーション・アーキテクチャ準拠の基準が定めてあります。この基準がサリュテーション・コンソーシアムのWebページにアップロードされました。このWebページにアクセスするには、http://www.salutation.org/ordrspec.htmに登録し、サリュテーション・アーキテクチャの仕様をダウンロードしてください。認定基準はこの仕様のパート3に記載されています。

サリュテーション仕様のパート1がアップデート

サリュテーション仕様のパート1がアップデートされ、いままで以上に読みやすく、わかりやすくなりました。記述が簡潔になり、例は理解しやすく、用語もやさしくなりました。この仕様はコンソーシアムのWebページ(http://www.salutation.org/ordrspec.htm)からダウンロードできます。コンソーシアムのスタッフ([email protected])に連絡して、送信してもらうことも可能です。


マネジング・ディレクターから皆様へ

まず、コンソーシアムがCOMDEX Fall '97へ出展するにあたって、企画から実施に至るまで尽力していただいたメンバー企業の皆様に心からお礼申し上げます。ブースで展示やデモを行っていただいたスタッフの皆様には特にお世話になりました。前もっての計画とハードワークのおかげで、たいへん充実したブースとなりました。ブースには数多くの人々が訪れ、サリュテーションのいろいろな側面を知ってもらうことができました。質問もたくさんありました。

今回の出展にあたってテーマとしたのは「アプリケーションのためのネットワーク・リソース管理」です。コンソーシアムのブースでは、ネットワークを介した情報端末のディスカバリと制御、サリュテーション対応の機器やレガシー・デバイスへのアクセスとサポート、機器の機能を調整するアプリケーションなど、サリュテーション対応のアプリケーションによって可能になることをあますところなく示すことができました。日本IBMのNuOffice、XtraWorXのSalutation Port-of-Entryプロトタイプ、STS ConsultingのSalutation APIドライバのデモとプレゼンテーションがこれを実現したのです。次から次へと出される質問に対しては、各エリアに用意してあるディスプレイ画面を使いながら答えることができました。

ブースを訪れたのは、エンドユーザーから開発者、システム・インテグレーターに至るまで、情報技術産業のいろいろな分野を代表する人たちです。職場は地方自治体、州政府、連邦政府などを含み広範囲にわたっており、国も一様ではありません。これら多種多様な人々に共通するのは、「ネットワーキングのさまざまな問題を解決したい」という一点でした。「ネットワーキングの問題」とは、接続性、インターオペラビリティ、使い勝手、システム所有コスト(コスト・オブ・オーナーシップ)、サービスとサポートなどの問題にほかなりません。ほとんどの人々は、「自分たちが直面しているネットワーキングの問題をサリュテーション・アーキテクチャは解決できるか」という問いを抱えてブースを訪れました。ブースを去るときには、サリュテーションがどの分野でどのようにして問題を解決するかについて、理解が深まったはずです。

業界アナリストや報道関係者もサリュテーションのブースに注目しました。これらの業界関係者は、サリュテーションの進化に関心を寄せており、サリュテーション対応の製品、プロトタイプ、開発ツールを自分の目で見ようとしました。かれらの反応は非常に好意的であり、「あの会社やこの人がサリュテーションに興味を持つだろうから、連絡をとってみたら」と教えてくれる向きもありました。

このように、COMDEX Fall '97はサリュテーション・コンソーシアムにとって非常にプラスとなる経験でした。メンバーになることに関心を示した会社も数社あり、フォローアップを続けています。Port of Entryのプロトタイプはレガシー・デバイスをサリュテーション対応のアプリケーションで使用できるようにする機能を備えており、使いやすいこともあって、非常に好評でした。この5日間を通じて、サリュテーションとその利点を多くの会社や人々に知ってもらうことができました。

サリュテーション・シナリオ

毎回サリュテーション・ニュースレターのこのセクションでは、サリュテーション・アーキテクチャをどのように利用するか、いろいろな可能性を探ることにしています。サリュテーションをいかにしてビジネスに役立たせるかについて、読者の想像力を喚起し、具体的に思い浮かべるのがこのセクションの目的です。まずサリュテーション対応の製品やサービスを使ってどのように問題を解決するかを示し、続いてそうしたシナリオの仕組みを明らかにし、背後にあるサリュテーション技術を説明します。

ハイテク風ショッピング

ビリーとテリーは一緒にショッピングを楽しんでいます。両人とも赤外線(IR)伝送機能を装備したパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)を持っています。しかし、二人のデバイスはそれぞれ別のメーカーのものです。ビリーのPDAは二枚貝のようなデザインで、キーボードとモノクロのディスプレイを備え、OSはWindowsをベースとしています。これに対し、テリーのPDAはキーボードの代わりにカラーのタッチ式ディスプレイを備えており、OSは独自のものです。今日のショッピングはスーパーマーケット。一万点を超える品数をそろえた大きな店です。店に入ると、二人はさっそくそれぞれのPDAをオンにします。PDAはIRリンクを介してスーパーマーケットのサーバーに自動的に接続され、サーバー上のアプリケーションがPDAの特性を判別して、ビリーとテリーのショッピング・プロファイルを見つけます。このプロファイルには、各個人の購入習慣、口座残高、ショッピングの頻度、ブランドの好みなどが記録されています。サーバーはさらに、PDAの特性に応じたクライアント・アプリケーションをそれぞれのPDAにダウンロードします。これで、PDAがビリーとテリーのショッピングのアシスタントに変身します。

ビリーはPDAを使ってスーパーマーケットの在庫を検索し、あらかじめPDAに入力しておいたショッピング・リストと照らして各アイテムの値段を比較します。このタスクは、店のサーバーからダウンロードしたクライアント・アプリケーションを操作することによって実行されます。検索要求がサーバー・アプリケーションに送信され、要求された情報をサーバーが商品データベースから取り出して、PDAに返送するのです。返送される情報はそれぞれのPDAの機能に応じた形式とフォーマットになっています。ビリーはリストからいくつかのアイテムを選択します。すると、サーバーはどの売り場のどの棚にそれらのアイテムが陳列してあるかを知らせてきます。

テリーはペン入力のデバイスを使ってPDAのデータベースからいくつかのレシピを表示します。今朝子供たちからリクエストのあったレシピです。PDAにダウンロードされたユーザー・インターフェースを通じて、レシピに必要な材料のリストがサーバーから送られてきます。サーバーはテリーの購入習慣をベースとして、彼女の好みのブランドに合わせたショッピング・ガイドも送ってきます。あるレシピについては、特別な調理用缶詰が必要かどうかも問い合わせてきますが、テリーは"No"で答えます。

売り場を回りながら材料を買い物かごに入れていくうち、テリーはもう少し別の材料が必要なことに気づきました。そこで店内の現在の位置を(自分のPDAに固有の)インターフェースに入力し、アイテムを追加します。やがて、ほしいアイテムをすべて買い物かごに入れたビリーとテリーは、レジに向かいます。レジのPOS(Point-of-Sale)もサーバーに接続しており、購入したアイテムはすでに店のデータベースに記録されています(在庫、口座の引き落とし、出荷情報もこれに応じて更新されています)。ビリーの買い上げ金額からは購入頻度に応じた「お得意さま割引」の額が差し引かれています。ビリーとテリーに必要なのは、金額をチェックすることだけです。二人はそれぞれのPDAにセキュリティ コードを入力します。PDAはPOSに認証コードを送信し、認証が終了するとPOSはレシート情報をPDAに返します。

買い物を終えたビリーは、今月の購入情報をPDAからホームPCへ転送し、税金と口座のデータベースを更新しておきます。

舞台裏で活躍するサリュテーション

1. PDAをオンにすると、PDAとサーバーの間でサリュテーション・プロトコルの最初の交換が行われます。この交換によって、サーバーはPDAのオーナーや特性を判別します。この情報を使って、該当のPDAに固有のハードウェアとソフトウェアの機能に合わせて、ユーザーの好みに応じたやり取りが実現します。
2. サリュテーション・プロトコルの交換を通じて取得される情報には、PDAのメモリ容量、OSの種類とバージョン、入出力の方法、インストール済みのオンボード・アプリケーションなどが含まれます。
3. オーナーがPDAを店外に持って出ると、サーバーからロードされたアプリケーションは「蒸発」(vapor)します(これは'Vaporware'(バイパーウェア)という用語に新しい意味を付け加えます)。
4. サリュテーション・プロトコルはPOSとPDAの間でも使われます。ここではPOSとPDAのデータ交換を通じて、買い物客の口座情報が調べられ、認証の形式とフォーマットを確立します。

サリュテーションのメガトレンド

サリュテーション・コンソーシアムの前会長、ロバート・A・パスコ氏によるシリーズの第五回目。パスコ氏は現在、相互接続技術とインターワーキングを専門とするコンサルティング会社であるSenior Technical Staff Consulting, LLCを経営しています。

1982年のベストセラーである『メガトレンド』という本を覚えておられるでしょうか。著者のジョン・ナイスビットとパトリシア・アバディーンはこの本の中で、今後10年のトレンドを予測し、私たちの生活に大きな影響を及ぼす社会的、経済的、政治的、技術的な変化を分析しています。この本が指摘したトレンドをここで再び取り上げ、著者たちの予測が現実のものになったかどうかを点検するとともに、私たちの今日の生活にとって持つ意味を考えてみましょう。今回は特に8番目のトレンドに注目します。

8. 階層からネットワーキングへ

トレンド:ナイスビットとアバディーンは政府と企業の階層的な構造が崩れ、もっと平たい構造で置き換えられると予測しています。分権化とグローバル化の進展とともに、階層を定義するのがますます困難になり、意思決定は組織の下のほうのレベルで、現場に接している人々によって行われるようになるという予測でした。

今日:企業ではリエンジニアリング、ダウンサイジング、チームをベースとしたマネジメントなどと呼ばれる現象が進行し、政府レベルではローカル・コントロールと呼ばれる現象が進行しました。ネットワーキングのパラダイムに向かって誰もが殺到したのです。ダウンサイジングによって中間管理職がリストラされるにつれ、ネットワーキングは「新しい職を見つけるための、友だちや仕事仲間とのコミュニケーション」という新しい意味を帯び始めました。

ネットワーキングは自助グループやチャット・ルームといった形もとっています。たとえば、エイズ患者、スタートレックのファン、 ネイバーフッドウォッチ、ベースボール・カードのコレクターなどのネットワークが生まれています。

ホーム・ショッピング・ネットワークはこうしたトレンドの一例です。買い手、倉庫、流通センター、店舗の陳列からなる従来型のショッピングに代わり、ホーム・ショッピング・ネットワークはメーカーと消費者を直接に結び付け、タイム・サービスやリアルタイムの割引などで人々を引きつけます。

ネットワーキングへの流れから「バーチャル・カンパニー」というパラダイムも生まれました。バーチャル・カンパニーでは、必要に応じてベンダー、サプライヤー、コンサルタント、流通業者などを招き入れ、当面の目的を達成したら関係を解消します。

たとえば、数多くの会社が採用している「ジャスト・イン・タイム」方式では、特定の製造のニーズを満たしてくれる新しいサプライヤーが必要になることがあります。この場合、新しい情報インフラストラクチャを構築して、製品の仕様、作業順序、インボイス、その他のビジネス情報を交換しなければなりません。タスクが終了したら、この情報インフラストラクチャは破棄されます。

社会が急速に変化する中、情報インフラストラクチャを構築して維持していくのはそう容易でありません。新しいベンダーはどのようなハードウェアやソフトウェアを使っているのでしょうか。仕様、写真、図面が最高の品質で印刷されると期待してよいのでしょうか。2つの組織が使っているアプリケーションとサービスには互換性があるのでしょうか。セキュリティやプライバシーについては心配ないでしょうか。こうした一連の問いに対する正確な回答を遅滞なく受け取るにはどうすればよいでしょうか。個々のネットワークをサリュテーションのテクノロジーでつなげば、機能のディスカバリ、デバイスやサービスが使用状態になっているかどうかのチェック、サービス・セッション管理などを自動化できます。

製品フォーカス

日本IBMは、効率的な新しいオフィス環境を実現することを目的として、新しいソフトウェアを発表しました。IBM NuOffice V1.1と呼ばれるこのソフトウェアを使えば、ファックス情報を電子メールとして受信し、電子メールをファックス機に送信できます。

昨年5月に発表されたIBM NuOffice V1.0にはスキャン、画像インポート、印刷機能が統合されていましたが、新しいバージョンではこれにファックス機能が加わりました。NuOfficeはサリュテーション・アーキテクチャと互換性があります。サリュテーション・アーキテクチャが目指しているのは、複写機、ファックス機、スキャナー、プリンタ、PC、その他の関連オフィス機器の相互接続です。

サリュテーション対応のNuOfficeはどのような仕組みになっているか

IBM NuOffice V1.1はLotus Notes DominoサーバーとLotus Notesクライアント(以下ではこれら両方を「Lotus Notes」と総称することにします)上で実行され、電子メールと同様にファックスを簡単に送受信できるようにします。たとえば、G3ファックス機から受信したドキュメントをNotesデータベースにインポートし、そのデータベースの情報をグループのメンバーに送って共有できます。同様に、ファックスのドキュメントをNotesのメール機能を使って送信することも可能です。

さらに、受信確認応答機能もあり、送信者はドキュメントが宛先に配信されかどうかを確かめることができます。ファックスの送信エラーを電子メールで知らせてもらうことも可能です。宛先アドレスにメールのアドレスとファックスの番号が混在している場合でも、ファックスや電子メールを送信できます。

日本IBMとその他の会社からの製品リリースによって、サリュテーションのコンセプトは仕様と開発の段階からオフィス環境における実際的なソリューションの段階へと急速に進化しています。

IBM NuOffice V1.1はWindows NTに対応しており、Lotus Notes R4.1とR4.5上で実行されます。サーバー・ライセンスとクライアント・ライセンスの両方をパッケージしたこのソフトウェアは、98,000円(消費税を除く)の価格で12月10日にリリースされる予定です。

関連製品

三田工業からは複合機Antico 10、村田機械からはファックス・サーバー・システムV-710Sも発表されました。これらは、今日発表されたIBM NuOffice V1.1のファックス機能に対応した最初の製品となります。

サリュテーション対応のファックス・システムはキヤノン販売からも発売される予定です。

日本IBMとそのビジネス・パートナーは、キヤノンのGP30F(もう出荷が開始されています)、富士ゼロックスのNetwork Ableサリュテーション対応製品、新たに市販されるサリュテーション・ファックス機などをベンダー・ロゴの製品として積極的にキャンペーンしていく方針です。

IBM NuOfficeは野村総合研究所のPower Binder Pro V3.1とも連携し、その電子ファイリング機能を利用できます。IBM NuOfficeのスキャニング、イメージ編集、ファイリングの機能はこれによっていっそう強化されます。

テクニカルトーク

10月13日と14日、カリフォルニア州メンローパークのSun Microsystemsで第8回サリュテーション・コンソーシアム技術委員会(Technical Committee:TC)が開かれ、以下のメンバー企業から25人が参加しました。.

- Axis
- キヤノン
- Cisco
- 富士ゼロックス
- HP
- IBM
- Lexmark
- 松下電器産業
- 三田
- 村田機械
- リコー
- シャー
- STS Consulting
- Sun
- Xerox

会議では、サリュテーション・アーキテクチャの拡大強化について話し合い、今後の作業計画をまとめました。具体的には、以下のことについて合意が得られました。:



展望

「時代に適したテクノロジー」とはどのようなテクノロジーでしょうか。

すばらしいテクノロジーは毎日のように続々と登場してきます。ある種のテクノロジーはまたたくうちに消費者のイマジネーションをとらえ、クリスマスのころにはもう商品の形で店頭に姿を現します。消費者の注目を引くべく、後方でずっと待機しているテクノロジーもあります。その一方で、陽の目を見ることなく消え去っていくテクノロジーも少なくありません。

テクノロジーを軸とするビジネスにとって重要なのは、時代の旬となるテクノロジーを判別することです。

テクノロジーを時代に適合させるための1つの方法は、該当のテクノロジーを「ユーザーフレンドリー」な形で市場に持ち込み、一般消費者にとって既知なものにしたうえで、上級のユーザーにまで普及させることです。たとえば、ビデオ・ゲームはホームPCの尖兵とみなすこともできます。マイクロエレクトロニック・チップを使って画面上で情報コンテンツとやり取りするというアイデアは、"Pong"というゲームではじめて登場しました。そのうちゲームはだんだん高度になり、より複雑なユーザー・インターフェース、より高速なプロセッサ、より大きな記憶装置を必要とするようになりました。電話帳を自動化し、ワープロを使い、家計簿をつけ、Webをサーフするだけなら、今日のホームPCのパワー、スピード、容量は十分すぎるほどです。しかし、最新バージョンのRivenやTomb Raider IIで遊ぼうとすると、24倍速のCD-ROMドライブ、3Dのグラフィックス・アクセラレーター、300MHzのプロセッサは最低限の条件になります。

ブレークする日を待機しているテクノロジーの例としては、光ファイバーがあります。光ファイバーのテクノロジーは40年も前に登場しました。しかし、長い間、このテクノロジーは光ファイバー・ランプに応用されるだけでした。こんな古い時代のことは知らない人も少なくないでしょう。光ファイバー・ランプは、ベースの中に収めた光源とスパゲッティ状の多数の光ファイバーの束からなります(たくさんの光ファイバーが凍り付いた泉のように上へ下へと伸びています)。光はファイバーによって運ばれ、先端で小さな星のように放射されます。これにマルチカラーの回転フィルターを加え、あとはそれなりの装身具さえあれば、60年代後半の立派なヒッピーのできあがりです。このテクノロジーが陽の目を見たのは、光エネルギーを情報のキャリアとして利用する手段(最初は光アイソレーター、続いて光ファイバー・ケーブル)が見つかってからのことです。この結果、新手の長距離電話会社や「ダイム・レディー」が登場してきました。

ちょっと視点を変えて、「ユービクィタス・ネットワーク」(ubiquitous network:至るところのネットワーク)というコンセプトを考えてみましょう。これは、各種のデバイスやアプリケーションを自在にネットワークにつなぎ、必要なくなったらネットワークから外せるようにしようというアイデアです。たとえば、PC、デジタル・ビデオ・カメラ、スキャナー、テレビなどを、隣人や同僚のホーム・コントローラー、インフォメーション・サーバー、セキュリティ・カメラ、ファックス機、あるいはコーヒー・ポットにネットワークを介して接続します。こうしたアイデアを実用化しようとする試みはいくつかありました。すぐに思い浮かぶところでは、MicrosoftのAtWorkやNovellのNESTがあります。これらのテクノロジーが約束するものは、時代の流れに乗ったでしょうか。時代がこの種のテクノロジーにとって熟している判断する根拠はどこにあるのでしょうか。

時代を判断する一例として、1997年11月17-21日にラスベガスで開催されたCOMDEX'97 Fallを取り上げてみましょう。COMDEXはコンピューター業界の基本ともいうべきトレードショーであり、メインフレーム、ミニコン、マイクロコンピューター、OA機器、オペレーティング・システム、大容量記憶装置、広域ネットワークなどがメインでした。人々がポケット・プロテクターを誇らしげに身に付け、マーケティングの類は眉をひそめて迎えられるのがCOMDEXでした。しかし、今年はだいぶ様子が変わりました。一般消費者用の製品がショーの中心に躍り出てきたのです。数多くのノートパソコン、ホームPC、ハンドヘルドPCが展示され、デジタル・カメラやデジタル・ビデオ・カメラを写真品質のプリンタ、アルバム・ソフトウェア、電子メールに接続するデモも目を引きました。セットトップ・ボックスも多く出展され、チップ・メーカーは最新の組み込み製品の売り込みに力を入れていました。まるでCOMDEXが家電ショーと合体したかのような印象さえ受けました。

しかし、テクノロジーが受け入れられる機が熟したどうかを判断する最良の手がかりは、一般の刊行物での取り上げられ方です。Datamation、Network World、Computer Weekなど、コンピューター業界には長い歴史を持つ専門誌がいくつもあります。これらの雑誌の読者は一般消費者ではなく、コンピューターの専門家でした。しかし、最近になって、これまでずっとコンピューターのプロをターゲットとしたZiff-Davis PublishingがComputerLifeを発刊しました。これは「1000ドル・マシン、ゲーム、ビジネス/トラベル・ツール、カメラ、ソフトウェア、子供向けプロダクトのレビュー」をうたい文句にした雑誌です。さらに一般誌の分野からも、Time/Life Publishingが「パーソナル・テクノロジーのガイド」をスローガンとしたTimeDigitalを創刊しました。

テクノ消費者をターゲットとしたこうした雑誌の登場は、テクノロジーが「その他大勢」の生活にも浸透してきたことの明らかな証拠です。


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